やあ、珍しいところで会うねえ。
え?何してるんだって? 単なる観光旅行だよ。話題の「塔」とやらを見に来たんだけど、君のとこが関わっていたのかい?
いやあ、しかし高い塔だねえ。電波塔ではないみたいだし、近くにテーマパークを作ってるわけでもない。いったい何の塔なんだい?
なんだよ、教えてくれたって良いだろ。同じ一族の仲間なんだから。
そうだ、もう中に入れるんだろ。なあ、中を見せてくれよ。それもだめ? けちだなあ。
ひょっとして何か出るのかい?
唐突になんだって? だって、いかにも出そうな雰囲気じゃないか。何しろあたりには妖怪がうろちょろしている。俺は別に西の血は引いちゃいないから、本来は見えるはずはないんだけどな。そんな俺でも見えるぐらいの奴がうろちょろしてる。なんかとんでもない場所じゃないか。
だまれって? 何かりかりしてるんだ? 何か後ろ暗いことでもしてるのか?
そう言えばおまえさん、最近うちの連中にちょっかいかけているようだな。『たまのお』や『たすき』を引き込んで何をしようとして居るんだ?
だんまりか。俺を仲間に引き入れようとはしないんだな。
まあ、その通りだ。俺は『ちちり』さんにはいろいろ世話になってるし、『たまのお』の奴とは馬が合わない。北の坊や達のように純真でもないしな。
どこまで知ってるんだって? 自分が情報を出さずに情報が手に入れられると思うほどおまえさんはお子ちゃまだったかな?
まあ、それはともかく妖怪どもは処分しないといけないか。
許さんだって? おいおい、妖怪退治は勅命だぜ。
まあ、確かに、俺達一族が真面目に妖怪退治の勅命を全うしたことはないがな。一応表向きは退治したことになってるんだぜ。それに、不確定性原理の狭間に生きている奴らがそこらにうろちょろしているというのはさすがに上手くない。
そうは、、、、思ってないようだな、、、、いや、ちょっと待て。なんだその手に持ってる物は。
判った、判った、しっぽを巻いて退散するよ。この『ぬりこ』は臆病者なんだから。